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げいにんだもの
鈴木おさむ芸人交換日記』(太田出版,2011/03)

夢を実現させるよりも、ずっと大切なこと。永遠に輝くものを手に入れたひとたちの物語です。三浦しをん[帯] イエローハーツは結成11年目の売れない漫才コンビ。もうM-1で一発あてる目もなく、今の行き詰まりを打破するために交換日記をはじめる。交換日記でのやりとりから新しい漫才スタイルを生みだし、これでブレイクの手応えを掴んだ二人だったが――。本人役で出演?のカンニング竹山が好感度アップの、芸人の青春とその後の物語。いずれ二人の進む道が分かれていくとしてもあの瞬間のオレたちは最高だった。
|読む|comments(0)|trackbacks(0)|2012/04/28 Sat.|
コドモはつらいよ
コドモ警察』第2話,脚本/監督:福田雄一(「コドモ警察」製作委員会(電通・ポニーキャニオン・アットムービー)/MBS|TBS,0055-0125)

『愛菜と福、たまにムック。』(『マルモのおきて』オフィシャルフォトブック,2011)悪の組織レッドヴィーナスを追う神奈川県警大黒署特殊捜査課は、罠にかかって特殊ガスを吸わされ子供になってしまった。そこの設定は『名探偵コナン』からいただいていますが、一番やりたかったのは子役による『太陽にほえろ!』でしょう。コドモおじさんたちがナベさん、イノさん、スマート、エナメル、ブルとニックネームで呼び合い、唯一オトナのままの新人・勝地涼は早く一人前になってニックネームをつけてもらいたいと願っている。で、今回よくがんばったから「じゃあ、オテガラな」とデカ長・鈴木福に言われ「そんな失敗しても褒められているみたいで困ります」という展開。ナレーションに森山周一郎。脚本/監督は『ミューズの鏡』の福田雄一。人気子役の鈴木福初主演ドラマがこれだというのもすごいわ。
|視る|comments(0)|trackbacks(0)|2012/04/25 Wed.|
絵になる密室
鍵のかかった部屋』第2話,演出:松山博昭,脚本:相沢友子(CX,2100-2154)

原作:貴志祐介『鍵のかかった部屋』(角川文庫版) あのガチガチ密室ミステリを大野《怪物くん》智主演で月9枠でドラマ化ってどんな悪い冗談かと思いきや、これが意外に(すいません)いい感じでまとまりのあるミステリドラマなのである。主要登場人物は今のところ3人だけ。天然ボケの気のある新人弁護士戸田恵梨香は、ついやらんでもいいことに手を出して事件を拾ってくる役どころ。いまいち元気がなくて心配なのだが、そこはそれそのボス佐藤浩市が自由自在に演じてメリハリをつけてくれる。大野智は、マイペースでふだんは無口のいまいち何を考えているかわかりにくい防犯マニアの探偵役がぴったり。密室の模型まで作って淡々と謎を解いていく姿がビジュアルにわかりやすくていいですよ。
|視る|comments(0)|trackbacks(0)|2012/04/23 Mon.|
それでもボツはやっていない
宮部みゆき『ここはボツコニアン』(集英社,2012/02)

宮部みゆきの新境地、RPGファンタジー!! 本物の世界から日々吐き出される〈ボツネタ〉が集まってできたできそこないの世界〈ボツコニアン〉。少年ピノと少女ピピ(じつは双子の姉弟)は、〈世界の謎を解く、選ばれし長靴の戦士〉として本物の世界と通じる道を切り開き、より良い世界に創り変えるのだ。といういかにもな「テレビゲームネタのファンタジー[宮部みゆきインタビュー]」。
ひと言弁解しておきますが、そんなネタで小説を書いてもいいかしらと(遠慮がちに)訊いたら、許可してくれたのは「小説すばる」の編集長です[p.49]
といったセルフツッコミも交え、ボツと本物にまつわるディック的疑問を孕みつつ冒険はまだ始まったばかり。
|読む―SF|comments(0)|trackbacks(0)|2012/04/15 Sun.|
世界は繋がっている
伊坂幸太郎『PK』(講談社,2012/03)

こだわりとたくらみに満ちた三中篇を貫く、伊坂幸太郎が見ている未来とは―。[帯]
    収録作品
    • PK
    • 超人
    • 密使
      あとがき
「PK」勇気と決断の物語。27年前にマンションから転落した子供を救ったことで有名な大臣にかけられる圧力、ワールドカップ予選のPKをめぐる疑問、作家であった父親が語っていた次郎君のエピソード、あれとこれが繋がるサスペンス。テレビの中に吸い込まれるところが好き。「超人」能力者の物語。ああ、あの坊やがこんなに立派に成長してと目を細めたり。先輩能力者がステキ。「密使」時間の使い方と多元宇宙についての物語。握手がたくさん可能な仕事とは…なるほど。そういう切り取り方がやはり上手い。
3作品の微妙な重なり方ももおもしろややこしく、世界は繋がっているから素晴らしい。
|読む―SF|comments(0)|trackbacks(0)|2012/04/13 Fri.|
いつか小隅レイが来る日まで
野尻抱介南極点のピアピア動画』(早川書房・文庫,2012/02)

ネットと宇宙の清く正しい未来。5年ぶりのまぎれもない最新刊[帯]
    収録作品
    • 南極点のピアピア動画
    • コンビニエンスなピアピア動画
    • 歌う潜水艦とピアピア動画
    • 星間文明とピアピア動画
      解説/川上量生
動画共有サイトのピアピア動画が開設されてから10年あまりたった近未来。ボーカロイドの小隅レイをコアにピアピア動画に集結した集合知が、純民間宇宙飛行、軌道エレベーター上でのコンビニエンスストア開店、潜水艦による鯨との対話、ついには星間文明との接触を果たすまで、ぐいぐいエスカレーションしていく小気味良い連作。金銭収入はさておき楽しいからおもしろいから見せたいから認めてもらいたいからという動機で行動にうつす新しいモラルをもつひとびとの暮らすユートピアがそこに実現していた。すばらしい。
|読む―SF|comments(0)|trackbacks(0)|2012/04/08 Sun.|
聞いてから漕ぐ、漕いでから聞く
高千穂遥ロードバイクQ&A』(小学館,2012/02)

この本読んだら安心して自転車と付き合っていける気がします。自転車生活最高のパートナーです。」安めぐみさん(女優、タレント)[帯] 「非アスリート系ローディのカリスマ、高千穂遥[カバー袖]」が、初心者の「今さらきけないソボクな疑問[副題]」66問に答えてくれます。
Q3 最初に買う自転車はクロスバイクがいいの? それともロードバイク? なんか、いきなりドロップハンドルのロードバイクって怖いんですけど。[p.16]
先生は、通勤・通学に使うのでなければロードバイクと御回答。でも、スポーツ自転車というツールに慣れるにはまず数をこなすのが手っ取り早いので、通勤・通学(長距離であればその一部だけでも)でクロスバイクを使うことから始めるのもおすすめ。
Q18 総括してください。ロードバイクって結局、何に使えるんですか?[p.64]
そ、それを聞いたら身も蓋もないのだけれど、そこはさすがの先生「用途はひとつきりです。舗装道路をひたすら走ること」と直球の御回答。いやもうそのとおり。その思いきりがすばらしい。ひたすら走ることが愉悦なのです。そう考えると、通勤でロードバイクを使うのはいささか不純な感もありますが、それもよし。
Q23 友人にロードバイクに乗るなら、絶対にビンディングペダルにしろと言われます。でも、怖いんです。ペダルと足がくっついちゃうなんて。[p.82]
でも苦労するだけの価値はあるからビンディングに挑んでほしいと思うのだが、先生は「あ、もちろん、どうしてもビンディングペダルが怖いという人は、フラットペダルにしちゃってかまいませんよ[略]ロードバイクはちゃんと走ってくれます」と、やさしい。そうだよなあ、いろいろな乗り方があっていいのです。
Q58 スギ花粉症です。[略]何か、いい対策をご存じでしょうか?[p.197]
先生が強くお勧めする鼻マスクのノーズマスクピットって良さそうです。
|読む|comments(0)|trackbacks(0)|2012/04/04 Wed.|
灼熱のノヴァ
大森望責任編集『NOVA7』 (河出書房新社・文庫,2012/03)

完全新作オール読切SFアンソロジー全10編収録[帯]
    収録作品
      大森望「序」
    • 宮内悠介「スペース地獄篇」
    • 小川一水「コズミックロマンスカルテット with E」
    • 谷甲州「灼熱のヴィーナス」
    • 増田俊也「土星人襲来」
    • 北野勇作「社内肝試し大会に関するメモ」
    • 藤田雅矢「植物標本集」
    • 西崎憲「開閉式」
    • 壁井ユカコ「ヒツギとイオリ」
    • 扇智史「リンナチューン」
    • 片瀬二郎「サムライ・ポテト」
      大森望「編集後記」
収録された作家10人はそれぞれ単行本を出しているのだが、そのうち読んでいるのは小川一水、谷甲州、北野勇作、藤田雅矢の4人だけ。それなりに追いかけているつもりだったのだが、日本のSFシーンおよびライトノベルとかその周辺はいつの間にかそんなに拡大していたのでした。では、量は十分として質はどうなのかと問えばこれがすばらしいのですよ。
宮内悠介(1979生)「スペース地獄篇」イーガンもかくやの仮想世界で人工生命からの債権回収に挑むハードSF。登場人物の掛け合いもテンポよく、おおらかなユーモアが心地よい◎。小川一水(1975生)「コズミックロマンスカルテット with E」恒星間宇宙船のなかで繰り広げられるヒトとマシンと宇宙人のドタバタは絶妙すぎて噴きまくり。目的地に到着してさらに高次のオチがつくのもステキ◎。谷甲州(1951生)「灼熱のヴィーナス」土木SFの御用命は信頼と安心の甲州印。増田俊也(1965生)「土星人襲来」まさかの東北大ネタ。東北大をトンペイと称するのを見たのはいつ以来だろう。ひたすら脱力のバカSF。好きです○。北野勇作(1962生)「社内肝試し大会に関するメモ」原発危機の暗喩として読むことも可能だが、素直に北野勇作ならではのひんやりとおかしい会社綺譚を楽しむ。藤田雅矢(1961生)「植物標本集」植物SFの第一人者ならではの出来。古い温室の解体整理をはじめる冒頭からその世界にたゆたゆと引きこまれる○。西崎憲(1955生)「開閉式」あちこちに扉がある。壁井ユカコ(?生)「ヒツギとイオリ」自分の触覚や内臓感覚を周囲に伝えてしまう能力者ヒツギと生まれつきいくつかの感覚が欠けているイオリ、少年2人の文字通りイタい交流を描く○。扇智史(1978生)「リンナチューン」ライフログとARがあたりまえになった近未来の『トーマの心臓』みたいなというと違うけど○。片瀬二郎(1967生)「サムライ・ポテト」ロボットの覚醒とその後を描いて泣かせる。主人公をファーストフード店の接客ロボットとした設定が秀逸◎。
というわけで秀作をたくさん、それも知らなかった作家の作品を読むことができたオリジナルアンソロジーなのですごく得した気分。一冊の本としての緩急ある構成もよく、ハード、ユーモア、あるいはその両方を兼ねた作品でトントトトンと一気に「土星人襲来」まで入ってきて、中盤は自分の世界をもっている3人それぞれの落ち着いたたたずまい、それから一気にタンタンターンと軽快に撥ねあがって爽快。
|読む―SF|comments(0)|trackbacks(0)|2012/03/30 Fri.|
石黒昇逝去
『宇宙戦艦ヤマト』DVDメモリアルボックス2012年3月20日、逝去。73歳。
「宇宙戦艦ヤマト」の演出を手掛け、「超時空要塞マクロス」「メガゾーン23」「銀河英雄伝説」などの制作に参加した。[時事通信,2012/03/22/1111]
日本アニメーション史に残る作品を手掛け、アニメーションスタジオ・アートランドの創業者/取締役会長として後進を育成し、なかでも『マクロス』をほとんどがアマチュアというメンバーを使って作り上げて新風を吹きこんだ、アニメーション監督に対して謹んで哀悼の意を表します。
|悼む|comments(0)|trackbacks(0)|2012/03/22 Thu.|
こんなもんや
田中啓文こなもん屋馬子』(実業之日本社,2011/10)

謎のレシピでお悩み解決。[帯]
    収録作品
    • 豚玉のジョー
    • たこ焼きのジュン
    • おうどんのリュウ
    • 焼きそばのケン
    • マルゲリータのジンペイ
    • 豚まんのコーザブロー
    • ラーメンの喝瑛
こなもん連作ミステリ。毎回、舞台となる店は毎回違うのだが、大阪のどこかディープな界隈にあって汚なくてこれぞ大阪のおばはん蘇我家馬子が作るこなもん(ただしモンジャと広島風お好みは死んでも作らん。死にたかったら注文してみ[p.13])は絶品という設定は共通、なんらかの謎があって馬子の乱暴な知恵がはたらいて、最後は各篇の語り手である客ジョーとかジュンとかまああれですけどその正体も明らかになってオチがつく。このお決まりの展開のなかでのバリエーションが楽しい。
|読む―ミステリ|comments(0)|trackbacks(0)|2012/03/16 Fri.|
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