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うつし世はゆめ
恩田陸『夢違』(角川書店,2011/11)

美しき悪夢が現実に忍びよる。戦慄と驚愕、幻視サスペンス巨作!![帯] 夢を映像として記録できるようになった近未来。各地の小学校で頻発する集団白昼夢事件。事件に遭った小学生の夢札あらわれるアレは何を意味するのか。かつて精度の高い予知夢をみていた女性は予知した事件に巻き込まれて亡くなった。あれから十年以上たった今になって寄せられる彼女の目撃情報とは関係は。各地で発生する神隠し事件との関わりはあるのか。それらの謎を追求する研究者チーム。そのひとりは「新しい技術が生まれると新しい問題も生まれる」「ギャンブル依存症もゲーム依存症も、当然カジノやゲームがない時代にはなかった。抗生物質がない時代には耐性菌もなかった」と言う。果たして新しい問題が起きようとしているのか。夢の世界だからこその奇妙な論理、捉えどころのないロマンス、心もとない現実、変容する世界のトリップ感。他所では味わえない恩田陸印のファンタスティックなサスペンス。さすが。
|読む―SF|comments(0)|trackbacks(0)|2012/01/13 Fri.|
消えるラビオリの味が気になる
エル・ブリの秘密 世界一予約のとれないレストラン(El Bulli: Cooking in Progress)』監督:ゲレオン・ヴェツェル(シネスイッチ銀座)

DVD『El Bulli: Cooking in Progress』
料理界の革命児、フェラン・アドリア率いるシェフ達の知られざる厨房に密着したドキュメンタリー。
新メニュー歓声からお披露目に至る、その緻密なプロセスのすべて。[イントロダクション]
その驚異的に美しい三ツ星の料理そのものはもっぱらエンディングで出てくるだけだったのは残念。大画面でじっくり見てみたかったのに。世界一予約のとれないレストランについて特段説明するまでもないだろうと考えているらしく、もうただひたすら料理を作る「プロセス」を追求する職人というかオタク集団を追いかけるそういう映画でした。
|観る|comments(0)|trackbacks(0)|2012/01/08 Sun.|
21世紀のプータロー戦略
山崎寿人『年収100万円の豊かな節約生活術』(文藝春秋,2011/06)

アタマを使えば楽しく暮らせる[帯]
20年間無職!一日の食費は500円![帯]
「何もしないでよい」を基本とする生活スタイルに到達した著者の思想とノウハウを描いた21世紀のプータロー戦略。攻めの引きこもり術というべきか。なるほど。支出を切り詰めれば年収100万円で暮らすことができる。あるいは、都市部に住まいを構えて一日三食自炊してネットにつながる生活を送ろうとすれば100万円はかかるんだ。このような選択肢もある日本は豊かなのだと思います。
|読む|comments(0)|trackbacks(0)|2012/01/07 Sat.|
仮面のスタッフ
東野圭吾『マスカレード・ホテル』(集英社,2011/09)

完璧に化けろ。決して見破られるな。[帯] 3件の連続殺人があり、そこに残されたメッセージから4件目の殺人が超一流ホテルであるコルテシア東京であることが割り出される。犯人も被害者も不明の殺人を阻止するために、警察は潜入捜査に踏み切る。お客様第一の超一流ホテルがよくそんなリスクの高い捜査に協力したものだと驚かされるが、そこは筆力で納得させるのがプロです。
かくして警視庁捜査一課刑事らがホテルスタッフに扮して、いつ起きるかもわからない事件に立ち向かう。前半は、刑事が慣れぬ接客業に苦労するエピソードがいくつか。ホテルあるあるなトラブルを乗り越えるなかで、刑事とホテルウーマンはお互いを理解し、事件解明のヒントもつかんでいく。
殺人事件の解明であると同時に未然の阻止もテーマとしている点は珍しいのではないか。ホテルを舞台にしていることや連続殺人にも理由があり、最後まで緩みなく読ませる。最初はいがみあいながらも、徐々にお互いのプロ意識を認め合う刑事とホテルウーマンの相棒ものとしてドラマ化に向いてそう。
|読む―ミステリ|comments(0)|trackbacks(0)|2012/01/06 Fri.|
マニアが宇宙人と出会うとき
宇宙人ポール(Paul)』監督:グレッグ・モットーラ,脚本/出演:サイモン・ペッグ/ニック・フロスト(シネ・リーブル池袋)

『宇宙人ポール』A4サイズポスター あこがれのアメリカでファニッシュな旅をするイギリス人SFマニア2人組。コミックコンベンションを堪能したあとは、キャンピングカーでUFO聖地ツアーだ。そこで、極秘施設から脱出してきた宇宙人ポールその逃避行を助けることになるのだから、これはもうマニアの夢が実現しているというかなんつーか。60年前に地球に不時着したポールの外見がグレイそっくりなのも、スピルバーグの映画がヒットしたのも、ちゃんと理由があったのです。アメリカ人とイギリス人、マニアと宇宙人、マッチョな田舎者、キリスト教原理主義パパと抑圧された娘、組織のひとたち、60年前にポールを助けたおばあさん、世の中から大なり小なりはみだしたひとたちのギャップからすさまじい笑いがあふれる傑作。そりゃ、死んだ鳥は食べられないよ。
|観る|comments(0)|trackbacks(0)|2012/01/04 Wed.|
いい夢もあれば悪夢もある
史上空前!笑いの祭典 ザ・ドリームマッチ2012』(TBS,2100〜2354)

サンドウィッチマン ライブ2010 新宿与太郎音頭
ダウンタウンがMCを務め、お笑い芸人をシャッフルし、一夜限りのコンビを結成して新ネタを披露する『ザ・ドリームマッチ』。8回目を迎える2012年も、昨年同様に元日の夜にお送りすることになった。
フィーリングカップル形式で、『キング・オブ・コント』などを勝ち抜いた実力派の芸人たちと、「一か八か枠」として独特の芸風を売り物にしている芸人も加えてシャッフル。一夜限りのコンビを結成しネタを披露してもらう。年に1度の特別な笑いの大イベントが開催される! [みどころ]
別にシャッフルしなくても元のコンビでじっくりネタをみせていただきたいのだが、正月くらいはこういう変化球もいいのかも。いや、ふだんからじっくりネタをみる機会など無いではないか。とかなんとかぶつぶつ言いながらもみてしまうのが正月なんだな。組合せおよび出演順は以下のとおり。
    • 木下(TKO)+コカド(ロッチ)
    • 高橋(サバンナ)+山本(ロバート)
    • 渡辺直美+木本(TKO)
    • 富澤(サンドウィッチマン)+堤下(インパルス)
    • 又吉(ピース)+黒沢かずこ(森三中)
    • 友近+綾部(ピース)
    • 小藪千豊+秋山(ロバート)
    • 板倉(インパルス)+伊達(サンドウィッチマン)
    • 中岡(ロッチ)+馬場(ロバート)
    • 2700+八木(サバンナ)
前半の高橋+山本、渡辺+木本、富澤+堤下の三連打がすばらしかった。ロバート山本博を山本博以外はできないキャラクターであることを見究め山本博として活かしきったサバンナ高橋茂雄のタイコ持ち芸に感嘆。TKO木本武宏がしっかり受けとめてみせた渡辺直美の下ネタありのダンサンブルな展開がよい。この渡辺直美のおもしろさを今まで見逃してましたわ。サンド富澤たけしのクセのあるボケとインパルス堤下敦の的確なツッコミがいい感じで噛みあった漫才は安心して任せられる。結果、渡辺+木本のベストカップル賞は納得。ベタに笑いをとりにいく渡辺直美の姿勢が志村けん審査委員長に受けたか。なお、「一か八か枠」の黒沢かずこと2700はどちらも弾けず残念でした。
|視る|comments(0)|trackbacks(0)|2012/01/01 Sun.|
内藤陳逝去
CD『MIDNIGHT PLUS ONE』 2011年12月28日、食道がんのため逝去。75歳。
62年、ストリップ劇場のコメディアン仲間の井波健さんや成美信さんと、お笑いトリオ「トリオ・ザ・パンチ」を結成。メンバーは入れ替わったが、独特のギャグで注目を集めた。
冒険小説やハードボイルド小説好きで知られ、81年から月刊プレイボーイ誌で書評を連載。同年「日本冒険小説協会」を設立し会長に就任した。愛情に裏打ちされた書評は熱狂的ファンを生み、著書「読まずに死ねるか!」はシリーズ化。一方、英国の作家、ギャビン・ライアルの小説から名付けたバー「深夜+1」を東京・新宿ゴールデン街で開いていた。[サンケイスポーツ,2011/12/31/0505]
いつも『このミステリーがすごい!』の「私のベスト6」でトリを飾っていた陳メのコメントが好きでした。おそらく闘病のため、2006年版での出場が最後になってしまいました。冒険小説というものはもちろん日本冒険小説協会より昔から存在していたわけだけれど、それをひとつのジャンルとして認識させてくれたただならぬ読み手、すぐれた扇動者に対して謹んで哀悼の意を表します。
|悼む|comments(0)|trackbacks(0)|2011/12/31 Sat.|
書評か
豊崎由実ニッポンの書評』(光文社・新書,2011/04)

いい書評とダメな書評の違いは? 書評の役割、成り立ちとは? 一億総書評家時代の必読書![帯]
書評というものは、まずなにより取り上げた本の魅力を伝える文章であってほしい。読者が「この本を読んでみたい」という気持ちにさせられる内容であってほしい。自分の考えを他者に伝えるための容れ物として対象書籍を利用してはならない。書評は作家の機嫌をとるために書かれてはならない[p.26]
という覚悟のもとに、書評愛を存分に語り、返す刀でダメ例としてあげたプロによる新聞掲載書評からAmazonのカスタマーレビューや書評ブログの浅墓記事までメッタ斬り。著者の考えるよい例わるい例をたくさん引いた部分がなんともおもしろうてやがて思い至る、あれ、ここに書き留めている感想文も数多ある書評ブログのひとつだという現実。書評といえるような代物なのかどうかはさておき不特定少数ほぼ知り合いの目に触れるものであることは意識して、ネタばらしや不快な記述は避けてきたつもりだけど、ど、ど、どうかな。さらに、最終章「トヨザキ流書評の書き方」では、みずからの書評術まで披露して興味津々。巻末に収録した豊崎由実×大澤聡対談40頁では、日本書評史や昨今書評事情を濃く語ってこれがまたうれしい。
|読む|comments(0)|trackbacks(0)|2011/12/31 Sat.|
このミスグラデーション
このミステリーがすごい! 2012年版』(宝島社,2010/12)

日本一の信頼と実績[表紙] さて、2011年(2010/11〜2011/10)の国内編ベスト20位までのうち既読は以下のとおり。


驚かされたという点で、タイプは違うのだけれど『ジェノサイド』と『消失グラデーション』が双璧。2011年はどうも角川書店の当たり年だったらしい。そして、来年の角川書店は、冲方丁光圀伝』、近藤史恵ダークルーム』、初野晴〈ハルチカ〉シリーズの新作『千年ジュリエット』(すでに「私の隠し玉」予告より遅れている模様)、さらにはダニエル・H・ウィルソン『Robopocalypse』などを出してくるということなので楽しみだ。
|読む―ミステリ|comments(0)|trackbacks(0)|2011/12/29 Thu.|
うどんを食べに漕ぎたい
国井律子『さぬきうどんサイクリング』(瀬戸内海放送,2009/09)

国井律子が3泊4日でさぬきうどんを食べ漕ぎ![副題] 著者はそのスジ(どのスジ?)では有名なひと。自転車とうどんといういいポイントを突いてくるあたりなかなかデキる人物です。地元讃岐のうどん好き建築家林幸稔の指南による、3泊4日、うどん店21軒、うどん25玉中華麺2玉そば1玉、麺食代7835円、自転車総移動距離140km(高松→坂出輪行1回)の旅。季節は4月、暑すぎず寒すぎずいい季節のうらやましいうどんサイクリング。フルカラー、麺通団団長との対談あり、地図あり、データ充実の心地よいエッセイ。基本はうどんへの愛だ。
|読む|comments(0)|trackbacks(0)|2011/12/27 Tue.|
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