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|-|-|-|2014/07/26 Sat.|
代書屋の恋
松崎有理代書屋ミクラ』(光文社,2013/09)

依頼人たちは、曲者揃いの難アリ系。彼らの研究論文の成めざし、日々奔走。救いは、なぜか仕事のたびに出会える素敵な女性。そんなミクラに、しあわせは訪れるのか? 23歳男子、脳内失恋数えきれず[帯]
    収録内容
    • 第一話 超現実な彼女
    • 第二話 かけだしどうし
    • 第三話 裸の経済学者
    • 第四話 ぼくのおじさん
    • 第五話 さいごの課題

あるレベルの論文を出し続けられない研究者は退職せねばならない「出すか出されるか法」が施行されたこの世界では、研究者のかわりに論文を作成する代書屋の需要がある。北の街・蛸足大学卒、23歳独身、いささか夢見がちというか妄想の気のある見習い代書屋ミクラは、曲者の依頼者とのバトルとお決まりの失恋を繰り返す。それにしても、毎回出てくる研究ネタがおかしい。いわく
結婚と業績の相関 男性の研究者や芸術家は結婚後に生産性が落ちる[p.16]
はげ遺伝子は進化的に中立[p.84]
良心の研究 無人販売の経済学[p.129]
結婚における男の評価基準はなにか[p.204]
目標は紙に書くと実現する[p.273]
この世界は、悪法のもとでたぶんに抑圧的なのだけれど、研究者が研究(=論文作成ではないにしても)をできるのだからそれはユートピアだろうともいえるのでした。
|読む―SF|comments(0)|trackbacks(0)|2014/03/24 Mon.|
ミヤコとナゴヤは永遠に
恩田陸雪月花黙示録』(角川書店,2013/12)

新次元エンターテインメント誕生(構想10年)[帯]
    収録内容
    • 第一話 春爛漫桃色告
    • 第二話 水澄金魚地獄
    • 第三話 夏鑑黄金泡雨
    • 第四話 冥府牡丹灯篭
    • 第五話 重陽節妖降臨
    • 第六話 鯱髪盛双児麺
    • 第七話 幻影払暁縁起

「そういや、鉄腕アトムの還暦祝いっていうのをこないだどこかでやってたわねえ[p.70]」というから、時は2060年代半ば。ミヤコを中心とした大和文化に回帰するみやびな人々、ナゴヤを拠点とする物質文明万歳帝国主義一派が対立共存するクールかつシュールな状況にあるゴシック・ジャパンで繰り広げられるコメディ、アクション、世界の探究。ミヤコの最高学府光舎の生徒会長選挙からはじまる物語は、なつかしい学園ラブコメのフォーマットから派手に展開。ミヤコを創設した「暁の七人」に連なる名門春日家の御曹司春日紫風が大本命、対するのは暑苦しい改革派の長渕省吾(プププ)に、帝国主義者との接近が囁かれる及川道博ことミッチーだ! ミッチーに至ってはビラビラの服と縦ロールで本物の薔薇を背負って現れるのだが、「まさに七十年代少女漫画のアナクロニズムの極致である[p.29]」と作品内で説明してくれるくらいのもんだ。好きです。全編この調子で、以下『エースをねらえ!』の登場人物が日本刀をもって『3月ウサギが集団で』から『ダイ・ハード』までやるみたいな。ひたすらエスカレートしていくので、これはもう続編『花鳥風月狂詩曲』に続くんだろうなと次作のタイトルも勝手に夢想しながら読んでいたのだけれど、急転直下世界の謎が明らかになり見事にオチがつきました。
ゴシック・ジャパンで展開する『夢違』『夜のピクニック』以上の玉手箱!![帯]
いや、『夢違』(角川書店,2011)も『夜のピクニック』(新潮社,2004)もたしかに学園がでてくるけれど、この傑作に出てくるぶっとんだ設定の学園は『ロミオとロミオは永遠に』(早川書房,2002)の直系です。
|読む―SF|comments(0)|trackbacks(0)|2014/03/02 Sun.|
未来都市と日常
西島大介All those moments will be lost in time』(早川書房,2013/10)

西島大介●漫画家10周年●ありがとう!![帯] 東日本大震災のあと、東京から広島へ移住した西島大介の日常を綴る。高台から見下ろした広島市街は『ブレードランナー』の未来都市にみえたという。この複雑怪奇な時代に多くのひとは絶対正しいと言い切れる選択肢を持っていないが、そんな感覚がそのまま「SFエッセイコミック」に表れていた。そして、ひとは日々の暮らしをおくる。
ハヤカワSFシリーズ〈Jコレクション〉。
|読む―SF|comments(0)|trackbacks(0)|2014/02/28 Fri.|
日本の黒い雪
若杉洌原発ホワイトアウト』(講談社,2013/09)

「原発はまた、必ず爆発する!」[帯]」 参議院選挙で保守党が圧勝した日、経済産業省資源エネルギー庁や業界団体は、原発再稼働・発送電一貫体制維持のために動き出す。そこに立ち塞がるのは、原発に反対する福島出身の元女子アナウンサー、原子力規制庁の拗ねた若手補佐、正論を吐く県知事。総理も検事総長も古賀茂明も出てきます。そして原発が再稼働した雪の夜になにかが起きる。松本清張や山崎豊子の時代から変わらないようにみえるいかにもな日本の組織、顔の見えない「モンスターシステム」暴走に慄く現未来小説。
|読む―SF|comments(0)|trackbacks(0)|2014/02/14 Fri.|
そんなの空想地図
今和泉隆行みんなの空想地図』(白水社,2013/10)

ありえないほどリアルな、空想都市へ行こう。[カバー] こどもの頃、架空鉄道や架空地図を作って遊んだことがあるひとってどのくらいいるのだろう。西武池袋線沿線で育ったぼくは、最寄駅に急行が止まらないのが不満で自分用の空想急行を走らせたことから始まって、あらたに空想ニュータウンへと続く空想新線を敷設し、空想路線図を描き、空想球団(まだ西武ライオンズはなかった)を立ち上げ、空想リーグでの試合結果を報道する空想新聞の発行くらいまではやりました。J・R・R・トールキンや水島新司のような壮大な世界創造者も、最初は同じようにチラシの裏になにかしら書きつけるところから始めたのではないかしらん。そこで本書の著者です。こどもの頃から「ただただそれらしい路線図や都市地図を描いてみたかった[p.11]」そうです。そして、地図は成長し、小学校では友人を巻き込み、中学校ではA4を繋ぎあわせたものから模造紙へと拡張、高校ではIllustratorを導入、大学では空想地図から離れてリアル地方都市まわりにウェイトを移したこともあったけれど。『タモリ倶楽部』の「地図マニアの最終形ひとり国土地理院集合」(2013/06/18、残念ながら未見)にも出演し、空想地図は人口150万人を超える政令指定都市を中心に拡大中。そんな著者によるこのビジュアルも美しい本はなんなのだろう。地理エッセイ? 空想地図集成? 都市論考? デザインヲタク本? 素直なSF? 類のないモダンな奇書である。
|読む―SF|comments(0)|trackbacks(0)|2013/12/30 Mon.|
俺の宇宙
六冬和生みずは無間』(早川書房,2013/11)

三万光年先にも地獄はあったんだね。[帯] 雨野透の人格を転写したAIである俺ははるか大宇宙をゆく。俺より80年後に地球を出発した人格/AIとやりあい、暇にあかせて俺の改造にはまり、理想のデータ生命体を作ってみたり、複数の俺を宇宙にばらまいてみる俺/俺たちの思考の奥底にいつもひっかかているのは地球に残してきた恋人みずはのこと。喰うか喰われるか。この途方もない旅とちっぽけな思いの対比がなんともそら恐ろしくおもしろい。
第1回ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作。
|読む―SF|comments(0)|trackbacks(0)|2013/12/27 Fri.|
ライバーよ、これが日本の猫だ。
万城目学『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』(筑摩書房・ちくまプリマー新書,2010/01)

「ホルモー」「鹿男」「トヨトミ」の輪を飛び出して、万城目学が紡ぎ出す、新たな物語の世界![帯]
いつか、キラキラした目の小さな女の子の話を書いてみたいと思っていました。静かに踏みだす新たな一歩です。[万城目学インタビュー]
というわけで、かのこちゃん(小1)とマドレーヌ夫人(アカトラ、犬語がわかる猫)が出てくるかわいらしい物語なのだが、あの万城目学ならではの人外の物語もあり、かといってこれまでの長篇のように大仕掛けで迫ってくるわけではない。小学生と猫の目に映る驚異に満ちた世界を、ゴムマリのように弾んだ筆致でさらさらと。マドレーヌ夫人こそ、猫股の国のガミッチでありました。
|読む―SF|comments(0)|trackbacks(0)|2013/11/25 Mon.|
とっぴんぱらりのすってんころりん
万城目学とっぴんぱらりの風太郎』(文藝春秋,2013/09)

その時、1人対10万人。[帯]
天下は豊臣から徳川へ──。重なりあった不運の末に、あえなく伊賀を追い出され、京<みやこ>でぼんくらな日々を送る“ニート忍者”風太郎<ぷうたろう>。その人生は、1個のひょうたんとの出会いを経て、奇妙な方向へと転がっていく。やがて迫る、ふたたびの戦乱の気配。だましだまされ、斬っては斬られ、燃えさかる天守閣を目指す風太郎の前に現れたものとは──。[帯]
万城目学だし、とっぴんぱらりでぷうたろうだし、ニート忍者だというからもうてっきり戦国の世も終わって仕事のない忍者の話かと思いきや、帯のあらすじをよく読めば、まだ最終決戦である大坂の陣が控えていたのでした。無名の忍者が直面する歴史の大河に、波乱万丈の伝奇、機敏な立ち回りと目も眩む幻術、派手な爆発、炎上、友情と対立、信義と裏切り、凄惨と明朗、生と死が詰まっている。あと意外にモテる。そして、あの結末から『プリンセス・トヨトミ』の物語が始まる。続篇はすってんころりんの遼太郎か。
|読む―SF|comments(0)|trackbacks(0)|2013/11/23 Sat.|
その戦いはまだ終わらない
藤崎慎吾深海大戦』(角川書店,2013/08)

21世紀後半。人類は未だ闘っていた―深い海の底で機体を駆って。[帯]
映画監督樋口真嗣氏もマンガ家弐瓶勉氏も書評家前島賢氏も大興奮!!
『ハイドゥナン』『鯨の王』。海洋小説の第一人者が満を持して描く、
巨弾ロボットSF!![帯]
という惹句に揺さぶられる。近未来、水中戦では人型兵器が必要という説得力のある設定のもと藤崎流ガンダムが渋く深く展開する。しかし、一巻400頁余の終わりにあったのは
(中深層編 了)
という非情。たしかに章建てがAからLまでしかないのを訝しく感じてはいたのだが。この続きはMから始まる続巻に続くのか。どこにもそんなアナウンスのないこと些かの疑問。残念。ファンタジー評論家の書評
海洋フロンティアの最前線の知見をたっぷり盛り込み、斬新で圧倒的な筆致で読ませる傑作。★★★★★(これを読まなくては損をする)[日本経済新聞,2013/09/18]
にも何の言及もなかった。
|読む―SF|comments(0)|trackbacks(0)|2013/10/26 Sat.|
怪獣怪談
宮部みゆき泣き童子―三島屋変調百物語参之続』(文藝春秋,2013/07)

ふしぎな話が、語る者、聞く者の心を、ゆっくりと解いてゆく。[帯]
    収録作品
    • 魂取の池
    • くりから御殿
    • 泣き童子
    • 小雪舞う日の怪談語り
    • まぐる笛
    • 節気顔
ご存知〈三島屋変調百物語〉シリーズ3冊目。著者曰く
今回は、若い娘が恋バナをしに来るわ、人殺しが来るわ、怪獣は出るわ……。これまで以上に、やりたい放題やらせていただいた感じです(笑)[著者は語る]
というとおり中身はのびのびとしているけれど、シリーズとしての枠が安定しているのでどこかに発散してしまうことはない。
なかでも「まぐる笛」が絶品の怪獣SF。北国某藩に出現した人を食らう怪獣まぐると、秘事を伝承した乙女が対決。怪獣の抜群の造形、逃げまどう人々の葛藤。そして、その話を語る江戸勤番の若侍の母や妹に向ける思いがせつなく余韻を残す。
|読む―SF|comments(4)|trackbacks(0)|2013/10/01 Tue.|
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