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|-|-|-|2014/07/26 Sat.|
学生アリス'88
有栖川有栖『江神二郎の洞察』(東京創元社,2012/10)

アリス、英都大学推理小説研究会入部から一年の瑞々しいキャンパスライフ。大晦日のミステリ談義を描く書き下ろし「除夜を歩く」ほか全九編収録。[帯]
    収録作品
    • 瑠璃荘事件
    • ハードロック・ラバーズ・オンリー
    • やけた線路の上の死体
    • 桜川のオフィーリア
    • 四分間では短すぎる
    • 開かずの間の怪
    • 二十世紀的誘拐
    • 除夜を歩く
    • 蕩尽に関する一考察
      あとがき

英都大学に入学したアリスこと有栖川有栖が推理小説研究会に入部して過ごした1988年を描く連作短篇集。ミステリ作家を志望して法学部に入学したアリスの、長老と敬意をこめてよばれる江神二郎部長や、経済学部2年の凸凹コンビ、クイーンを信奉する望月周平とハードボイルドファンの織田光次郎とともに過ごした一年間が、ロジカルにさりげなくマニアックに瑞々しく描かれる。小品「ハードロック・ラバーズ・オンリー」の喫茶店で過ごす時間や「やけた線路の上の死体」のクラブ旅行、「四分間では短すぎる」「除夜を歩く」の江神部長の下宿での放談、なんでもないようなことが幸せだったと思う学生生活である。ラウンジに行けばそこにクラブの誰かがいて前置きもなしにミステリ談義が始まる。いや、話題はミステリに限ることなく二十世紀の時代性を語ったり元号をめぐる蘊蓄だったりなんでもあるのだ。しばしばミステリとはなにか、名探偵とは何者なのかを問うメタフィクショナルな展開になるのがまたうれしい。たとえば、ミステリの世界では誰もが疑わしいけれど現実の世界では「名探偵も他人を信じることができる[p.53]」ので容疑者を絞ることができるというアリスの発言は心を打つ。「殺人事件がミステリの中心的モチーフとなることには必然性がある[p.324]」と言う江神部長の「人間の最も切ない想いを推理が慰めるからや[同]」というミステリ論は美しく力強い。この年の夏に英都大学推理小説研究会が遭遇した殺人事件を描いた『月光ゲーム』も、今ならまた新たな感興がわいてきそうで再読したくなりました。
|読む―ミステリ|comments(0)|trackbacks(0)|2013/01/07 Mon.|
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